糖尿病が原因でEDになるって本当?どうやって改善すればいい?
糖尿病になるとED(勃起障害)を引き起こすという話を、聞いたことがありませんか? ここでは、なぜ糖尿病とEDに関連性があるとされるのか、その原因とメカニズムについて、詳しく説明していきます。
糖尿病性ED ― 高血糖が勃起障害を引き起こすのは何故?
調査によって差はあるものの、糖尿病を抱える男性の約3〜6割にED(勃起障害)の自覚症状があるといわれています。自覚症状がない人も入れると、その割合はもっと高くなるかもしれません。一部の調査の結果によれば、糖尿病の方の80%がEDを合併しているという説もあるほどです。
糖尿病は血液中の糖分濃度が高くなる病気で、そのため末梢神経障害や血液障害を引き起こします。最初のうちは自覚症状も少なく軽い病気のように思われますが、長い時間をかけて少しずつ、体のあちこちに悪影響が出るのが特徴です。重症化すると、失明や腎機能障害、手先や足先の壊疽など、重大な合併症がともなう可能性もあります。
糖尿病性EDのもっとも大きい原因としては、全身の血管内皮障害からもたらされる、動脈硬化が挙げられるでしょう。動脈硬化は、糖尿病の典型的な症状です。糖尿病になると、体の中の酸化ストレスや糖化最終生成物(AGE)という老廃物が増加するため、血管内皮障害、さらには動脈硬化などを引き起こし、最終的には心筋梗塞や脳梗塞につながります。多くの場合、このいずれかのタイミングで、糖尿病性EDを発症します。
性器海綿体の毛細血管は非常に細いので、動脈硬化によって、血流がもっとも低下しやすい血管です。したがって、逆にいうとEDの症状が起きるということは、糖尿病やそのほかの病気、あるいはストレスや飲酒、喫煙などによって動脈硬化が進んでいるサインだと考えることもできるでしょう。
糖尿病性EDはどうやって治療する?
糖尿病性EDは、一度発症してしまうと、根治することは難しいとされています。ただし、治療によってほぼ寛解した状態に戻したり、あるいは進行を予防することは可能です。以下、糖尿病性EDの治療方法について、見ていきましょう。ちなみに、日本ではEDを病気として捉えていないため、いずれも自由診療となります。
薬物治療
現在、糖尿病性ED治療のほとんどが、薬物療法となります。日本で処方される治療薬としては、効果が2〜3日持続し、動脈硬化や狭心症予防にも使用されるシアリス®、効果が短時間のため性交渉の1時間前に服用するバイアグラ®とレビトラ®の3種類があります。
根本的な糖尿病の治療
食事療法や運動療法、またインスリン注射などで、血糖や血圧のコントロールをします。糖尿病自体の改善が、EDの改善につながります。
カウンセリング
糖尿病のような身体的な病気によって引き起こされるEDの場合でも、心理的な要因を無視することはできません。カウンセリングによって、医師は患者に安心感を与え、また指導をします。この場合、できるだけパートナーと一緒にカウンセリングを受けることがポイントです。
このほかにも、症状によっては陰茎プロステーシス(装具)を埋め込む手術を行うこともありますが、あまり一般的ではありません。
血糖値コントロールはどうやってすればいい?
先述した通り、根本的な糖尿病の治療がEDの改善につながります。つまり、血糖や血圧のコントロールが必要となるのです。それでは、具体的にどうやって血糖値をコントロールすれば良いのでしょうか?
糖尿尿の血糖コントロールの基本となるのが、食事療法と運動療法です。食事によって体に取り込まれる糖の量やエネルギーのバランスを調整し、それぞれの体に見合ったカロリー、バランスを心がけるようにします。また、筋肉の量が増えると、糖が体に取り込みやすくなり、さらに脂肪が減ることで血糖値を下げるインスリンが効果を発揮しやすくなるため、ウォーキングやジョギング、有酸素運動、筋力トレーニングなどを行い、血糖値の下がりやすい体を作ります。その上で、飲み薬やインスリン注射などの、薬物療法を行います。
ただし、血糖コントロールの方法は、糖尿病の種類や症状などの状態によって異なります。たとえば2型糖尿病の場合、まずは食事療法と運動を行い、血糖値を見ながら必要に応じて服薬しますが、1型糖尿病では、自分の体ではインスリンを作れなくなるため、インスリン注射による薬物療法が必須となります。
また、すでに糖尿病と診断されている場合には、必ず医師の指示にしたがって血糖コントロールを行うようにしてください。
おわりに:EDを悪化させないためにも、まずはしっかりと糖尿病の治療を!
糖尿病性ED自体を改善させる治療法もありますが、まずは糖尿病自体を十分に管理することが、何よりも大切です。食生活や運動療法、あるいは薬物療法によって、しっかりと血糖コントロールを行い、質の高い生活を送りましょう!