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運動には心身の若返り効果がある?おすすめのトレーニングは?

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運動が健康に良いことは、医学的にも体感的にも口々に言われています。しかし、運動によって若返りの効果は得られるのでしょうか?また、若返り効果が得られるとすれば、どのようなトレーニングがより効果的なのでしょうか?

運動で、心や気分が若返る?

運動後になんとなく気分が明るくなった、と感じる人は少なくありません。これは決して気のせいではなく、運動によって交感神経が活発になり、意欲的でポジティブな思考になることが証明されています

脳内物質レベルでも、運動による変化が起こっています。運動を始めると、まず脳内麻薬である「β-エンドルフィン」が分泌されます。これは気分をハイにするホルモンで、多幸感をもたらします。次に、ワクワク感や高揚感、達成感をもたらす「ドーパミン」というホルモンが分泌されます。最後に「セロトニン」というホルモンが分泌され、精神状態を安定させることができます。

セロトニンは別名「愛のホルモン」や「幸せホルモン」とも呼ばれ、うつの改善やストレス耐性の強化に効果があると考えられているホルモンでもあります。これは、ウォーキングなどのリズム運動によって分泌を促すことができます。

運動には、アルツハイマーを予防する効果も期待できます。2009年に発表されたイリノイ州立大学の研究によれば、60〜79歳の高齢者を対象に適度な運動をする実験を行ったところ、単純な体力向上だけでなく、脳内のシナプスに新しい枝が増える、ニューロンを健全に保つ細胞が増える、脳内に酸素を供給する機能がアップする、など脳が発達する効果があったことがわかりました。

ただし、いくら運動が体によくても、やり過ぎは逆に健康被害をもたらしてしまいますので禁物です。具体的には、週に4日程度、30〜60分が「適度」の目安とされています。しかし、最も大切なのは継続することです。ですから、自分で心地よいと思える頻度や時間で長期間継続して運動を行うことが、「適度」であると言えます。

若返りホルモン「マイオカイン」って?

ウォーキングは有酸素運動の代表とも言われ、運動療法のメインに取り入れられるほど健康に良いことがわかっています。その鍵となっているのが、「マイオカイン」というホルモンであることが、最近の研究からわかってきました。

「マイオカイン」は、筋肉を動かすことで分泌されるホルモンで、50以上の物質の総称です。そこで、体の中でも非常に大きな太ももの筋肉を始めとした下肢の筋肉を動かすことで、マイオカインをたくさん分泌させることができるのです。そのため、スクワットなどで下肢の筋肉を刺激してからウォーキングをすると、より高い運動効果が得られると言われています。

ウォーキングをする人は大腸がんやうつ病、アルツハイマーの発症が少ないという研究論文も徐々に発表され始めています。「マイオカイン」がどのように関わっているかの科学的な解明はまだ進んでいませんが、全身の健康に関わっていると推測され、運動している人がいつまでも若々しく生き生きとしていることにも関係しているのではないかと考えられています

若返りにおすすめなのは太ももの筋トレ?

ウォーキングなどの運動で若返りの効果を得るためには、マイオカインの分泌量を増やすような運動をすることが大切です。前章でも触れたとおり、スクワットをしてからウォーキングなどの有酸素運動を行うと効果的であると言われています。

スクワットをする際には、激しい筋トレをする必要はありません。ゆっくりと、使っている筋肉を意識しながら行いましょう。具体的には、以下のような順序で行うと良いでしょう。

  1. 肩幅くらいに足を広げる。腕は垂らしておいてよい
  2. 膝を前に突き出さないよう、ゆっくりと下ろしていく
  3. 太ももが水平になる程度までしゃがみ、下ろしたときと同じようにゆっくりと立ち上がる
  4. 1〜3を10回繰り返す

大切なのは、急いで行わないことです。腰を下ろすときも、立ち上がるときも、必ずゆっくりと行いましょう。ゆっくりすることで太ももに負荷がかかり、十分な運動になります。1往復6〜7秒程度を目安に、筋肉がぷるぷると震える程度を意識して行いましょう。

下ろすときに膝を曲げきらず、立ち上がるときに関節を伸ばしきらないのも有効です。体はつらいと感じますが、関節を痛めにくくなります。また、呼吸を止めてしまうと無酸素運動となり、健康に悪影響が起こりますので、呼吸をしっかりしながら行いましょう

筋トレを行うと、筋肉からマイオカインが分泌されるだけではなく、脳からは成長ホルモンが分泌されることがわかっています。成長ホルモンは脂肪を分解し、お肌の修復や再生を行います。筋トレ後には安静時の100〜300倍の成長ホルモンが分泌されるため、高齢になってからでも筋トレを含む運動を習慣にすることで、マイオカインと成長ホルモンの相乗効果により、肌年齢の若返り効果も期待できます

筋肉は、いくつになっても鍛えることができます。使わないとどんどん減っていってしまいますが、逆に、筋トレによって維持・増強することは年齢に関係なく行えます。スクワットとウォーキングで、脳からも筋肉からも若返りましょう。

おわりに:1日10回のスクワットとウォーキングで、若返りホルモンの効果を得よう

若返りホルモンとして期待されているマイオカインの分泌量は、1日に10回程度のスクワットで十分と言われています。このスクワットは下肢の筋肉に負荷をかけることが大切ですから、呼吸を止めずできるだけゆっくりと行うことが重要です。
また、スクワットの後には、有酸素運動であるウォーキングを行うことでさらに健康効果を増強しましょう。生活習慣病に代表される疾患を予防し、いつまでも若々しく健康に長生きしましょう。

監修 : ソラリアクリニックグループ特別顧問、泌尿器科専門医、指導医、医学博士 古賀 祥嗣

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