止まらない汗は、男の更年期?どうやって対処すればいい?
更年期障害と言えば、年齢を重ねた女性の病気というイメージが強いですが、実はその女性と同年代の男性にも更年期障害があることが近年わかってきました。特に、ホットフラッシュという症状が男性の更年期でも特徴的な症状として現れることがわかっています。
では、ホットフラッシュとはどのような状態を指すのでしょうか?また、ホットフラッシュが起こったらどのように対処すればいいのでしょうか?
止まらない汗は更年期のホットフラッシュが原因かも・・・
「ホットフラッシュ」とは、気温や厚着などに関係なく、体感的にも暑いと感じているわけではないのに大量に発汗する、のぼせやほてりといった症状が出るといった症状のことを言います。これは女性の更年期障害でよく見られる症状ですが、男性の更年期障害でも見られる症状であることがわかってきました。
男性のホルモン低下は、女性のホルモン低下と比べて比較的ゆるやかに起こるため、自分自身で気がつきにくい傾向にあります。しかし、以下のような症状が「突然」「強烈に」出ることが多くなってきたら、更年期障害を疑って良いでしょう。
- 顔が真っ赤になる
- 体が急に熱くなり、発汗する
- 熱はないのに体温がカーッと上がる
これらの症状は30秒程度で収まる場合もあれば、30分以上続く場合もあり、人によってさまざまです。数分ごとに起こる、1週間に2〜3回程度など、頻度にも個人差があります。症状が風邪の初期症状と似ているため、疲れや風邪気味の症状だと勘違いしたまま更年期障害に気づかずに過ごしてしまうことも多いのです。
更年期障害によるホットフラッシュは、自律神経の乱れによって血管の収縮・拡張のコントロールが上手く行かなくなり、血行が急激に変化することによって起こります。慢性的に血行不良の場合は、ホットフラッシュのような症状は起こりません。普段とは違う発汗やのぼせ、ほてりが見られたら更年期障害を疑い、早めに医師に相談することが大切です。
男性のホットフラッシュは、女性とどう違う?
男性の更年期障害も女性の更年期障害も、それぞれ性ホルモンが減少することが直接の原因となって起こります。ところが、女性の性ホルモン(エストロゲン)の分泌は40代以降の中年期で閉経に向けて誰しも一斉に減ってくる傾向があるのに対し、男性の性ホルモン(テストステロン)の減少にはかなりの個人差があります。
男性のテストステロンの分泌は20代をピークに、加齢によって徐々に減少していくことは誰しも同じですが、女性と比べて閉経などの大きな生殖機能の変化がない分、減少の仕方は緩やかで個人差も大きくなります。具体的には、過剰なストレスがかかることでテストステロンの分泌量が減ることが多く、不規則な生活や睡眠時間が短いこと、飲酒・喫煙の習慣によってもテストステロンが減少することが知られています。
これらさまざまな要因が重なり合って、60代・70代になっても30代とほとんど変わらない量のテストステロンが分泌されている人もいれば、40代ぐらいでもうほとんど分泌されなくなってしまう人もいます。男性の40代〜50代は、仕事でも責任ある立場に置かれることも多く、多大なストレスを感じる時期と言えます。こうしたストレスや疲労が積み重なり、更年期障害を引き起こしているとも考えられるのです。
脳には視床下部という部位があり、ホルモンのバランスを調節する働きがあります。更年期を迎えると、この視床下部がホルモンの分泌を命じても体がそれに対応できず、ホルモンバランスが乱れます。ストレスや偏った食生活が原因で、20代や30代でも更年期障害のような症状に悩む男性も増えています。一方、女性では若い人で更年期障害のような症状が出ることはあまりありません。
「ホットフラッシュかも」と思ったときに、できる対策はある?
ホットフラッシュかも、と感じたら、以下のような対策を取ると良いでしょう。
- 体温調節のため、脱ぎ着しやすい上着を用意する
- 汗ふきシートやタオルで首筋を拭いて冷やす
- 深呼吸やストレッチなどでリラックスする
ホットフラッシュになると、血行不良で体温調節が上手く行かなくなってしまいます。そこで、暑い・寒いと感じたときにすぐ対策できるよう、脱ぎ着しやすい上着を用意しましょう。また、熱を持ちやすい首筋や額を冷やすことで、体温を下げるのも有効です。市販の汗ふきシートなどを使うと、さっぱりと爽快感を得ることができ、体感温度も下げることができておすすめです。
また、深呼吸やリラックスをして血行を良くすることも大切です。ホットフラッシュはストレスなどで交感神経が優位に立っているときに起こりやすくなります。そこで、軽いストレッチや深呼吸をし、血行を良くして交感神経を和らげてやることが症状の緩和につながると考えられます。
ホットフラッシュを根本的に改善するには?
ホットフラッシュは、男性ホルモンであるテストステロンの分泌が低下することが原因で起こることがわかっています。そこで、ホットフラッシュを根本的に改善するためには、テストステロンの分泌を低下させないことがポイントです。具体的には、ストレスや疲労を溜めないような生活を送ること、病院できちんと診察を受けることが重要です。
- 栄養バランスのとれた食生活を意識する
- 規則正しい生活をする
- 適度な運動をする
これらのことに注意して生活することが、テストステロンの分泌量の改善に有効であるとされています。特に、食生活ではテストステロンを作るためのビタミンEやナイアシン、テストステロンの分泌を活発にするビタミンDやムチン、ホルモンバランスを整える亜鉛などの栄養素を意識して摂取するようにしましょう。
ビタミンEは魚卵やうなぎ・モロヘイヤ・ナッツ類、ナイアシンはたらこ・まぐろ・レバーなど、ムチンはモロヘイヤ・オクラ・納豆・山芋などに含まれます。また、うなぎや魚卵・しじみ・牡蠣・レバーなどにはストレス対策になるビタミンB1やB12も多く含まれています。
食事だけで栄養素を補うのが難しい場合、サプリメントで摂取するのもおすすめです。特に、ホルモンバランスを整える亜鉛や血流を良くしてくれるアルギニン、精神を安定させてくれるトリプトファンなどが含まれているものを摂取すると良いでしょう。ただ、サプリメントは医薬品とは違い即効性はないため、効果が見られるまで2〜3ヶ月は継続して使用することが必要です。
また、テストステロンだけに限らず、ホルモンは寝ている間に分泌されます。そこで、夜は早めに眠り、朝は早く起きて朝日を浴びるという規則正しい生活を心がけましょう。朝、早く起きてウォーキングをするのもおすすめです。運動や筋肉トレーニングはテストステロンの分泌料を上げるだけでなく、ストレスの解消にもなるため一石二鳥です。
ホットフラッシュの病院での治療はどんなことをするの?
ホットフラッシュが男性更年期障害によることがわかった場合は、減ってしまったテストステロンを補うためのホルモン補充療法が行われます。注射・皮膚吸収・経口投与などさまざまな投与方法があり、保険適用か自費かも変わります。医師とよく相談し、自分に合った治療法を選びましょう。
おわりに:ホットフラッシュの症状が急に起こったら更年期障害かも
男性のホルモン低下は、女性よりもはるかに緩やかに起こるため、症状の変化も緩やかで自分で気づきにくいことも多いです。しかし、ホットフラッシュの症状は一般的な風邪や疲れによるものとは少し違い、症状が突然現れたと思ったらおさまる、という状態を繰り返します。
こうした症状が出た場合は、更年期障害かもしれません。体温調節や生活習慣の改善などの対策をしながら、医師に相談し、適切な診断と治療を受けましょう。