プロペシア®だけで、髪の毛を若返らせることはできる?

薄毛

髪の毛の悩みは、男性にとって重要な悩みの一つです。そこで、髪の毛を若返らせるためにプロペシア®という育毛剤が使われることがあります。
プロペシア®は、髪の毛の若返りにどのような効果があるのでしょうか?また、プロペシア®だけで、髪の毛を若返らせることはできるのでしょうか?

プロペシア®の効果は、若い方が効果が出やすい?

プロペシア®とは、AGA(男性型脱毛症)の治療のための医薬品として効果が認められた世界初の育毛剤です。もともとは前立腺肥大症や前立腺がんの治療薬として開発された薬剤ですが、その後の研究により、発毛効果があることがわかりました。

プロペシア®の効果は、フィナステリドという有効成分によるものです。フィナステリドは、DHTという成分の生成を抑制する効果があります。DHTはAGAの原因となる物質であり、発毛に関わる毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合することで、髪の成長を阻害してしまうのです。これにより、髪の成長期が短くなるため、髪のサイクルのうち退行期に簡単に抜け落ちてしまうのです。

DHTは、男性ホルモンであるテストステロンが「5α-還元酵素」という変換酵素の働きを受けることで生成されます。プロペシア®の主成分であるフィナステリドは、この「5α-還元酵素」の働きを阻害するため、DHTの生成を抑制することができ、ヘアサイクルを正常化し、抜け毛を防ぐことができるのです。

プロペシア®は、この働きから、主な効果・効能は「抜け毛を防ぐこと」となっています。つまり、成長すべき毛髪細胞がある人に対して、正常な髪の毛の成長サイクルに戻すための薬剤です。したがって、毛髪細胞が既になくなってしまっている人では効果が出にくく、比較的若い人の方が効果が出やすいという傾向があります。

ですから、プロペシア®の内服に最も適しているのは、20〜40歳ごろの男性とされています。

髪の毛の若返りには、ミノキシジルとの併用がおすすめ

髪の毛の若返りを促すためのもう一つの有効成分として、ミノキシジルという成分があります。こちらも育毛剤に含まれる成分で、血液循環を改善し、髪の毛を生やす効果があることがわかっています。もともとは高血圧の患者さんのための治療薬として開発され、血管拡張作用による血圧降下剤として使用されています。

ミノキシジルは、血管拡張作用によって、血行を促進する働きがあります。そこで、肝臓で作られた髪の毛に関する栄養素を毛根までしっかりと届かせることができるのです。これによって、発毛の効果を高めています。ミノキシジル製剤による大正製薬の臨床試験によると、使用開始後3〜4ヶ月で約80%の人が発毛効果を実感できたというデータもあります。

髪の毛の若返りには、プロペシア®とミノキシジル製剤を併用することが推奨されます。プロペシア®で脱毛にブレーキをかけ、ミノキシジル製剤によって発毛にアクセルをかけることで、相乗効果を得ることができるのです。

まず、プロペシア®によって「5α-還元酵素」の働きを抑制し、抜け毛を防ぎます。DHTが精製されにくくなるため、毛根が正常なヘアサイクルを取り戻していきます。毛髪細胞が十分に分裂するための成長期の期間をしっかりと確保することにより、太く強い毛が生えるようになってきます。

さらに、ミノキシジル製剤はこれをサポートします。毛根に続く毛細血管を拡張して血流を大幅に増やしたり、新たな毛細血管を作り出し、毛根に十分な栄養素が供給される経路を確保します。これらの相乗効果によって、脱毛傾向にあった毛根から発毛傾向へと形成を逆転することができるのです。

プロペシア®とミノキシジル製剤の併用によって、体への悪影響はありません。ただし、複数の薬剤を使用することで、各成分に対するアレルギー反応などの副作用がある可能性は考えられます。体調不良を感じた場合は、すぐに医師に相談しましょう。

薬とともに、生活習慣の改善することも大切

抜け毛の原因は、DHT(ジヒドロテストステロン)だけではありません。生活習慣の乱れから薄毛や抜け毛につながることもありますので、生活習慣を見直すことも必要です。具体的には、以下のようなことに気をつけましょう。

  • シャンプーをしすぎない
  • 低脂質・高タンパクの食事
  • 飲酒・喫煙を控える
  • 睡眠時間の確保と睡眠の質の向上
  • ストレスの解消
  • 有酸素運動

シャンプーの直後は、頭皮や髪の毛を紫外線から守る皮脂が洗い流された状態です。そのまま外出すると、頭皮も頭髪も紫外線によるダメージを受けやすくなります。シャンプーは1日1回、夜に行うようにしましょう。また、何度もシャンプーをして頭皮が乾燥すると、乾燥を防ぐために皮脂の分泌が過剰になってしまいます。すると、皮脂で毛穴が塞がれ、毛髪の成長に悪影響を及ぼします。

髪の毛の大部分は、ケラチンと呼ばれるタンパク質から構成されています。ケラチンは食物から摂取できるものではありませんが、食物に含まれるタンパク質を分解したアミノ酸と、亜鉛などのミネラルやビタミンによって合成されることで作られます。また、脂質の多い食事は皮脂を過剰に分泌される原因の一つです。低脂質・高タンパクでバランスの良い食事を心がけましょう

ケラチンを作るために必要なアミノ酸は、飲酒で体内に入ったアルコールや、アルコールを分解してできたアセトアルデヒドをさらに分解するために消費されてしまいます。また、喫煙は血流を悪くし、毛髪細胞に栄養分が行き渡りにくくなってしまいます。過度な飲酒や喫煙は避けましょう。

睡眠の質・時間の確保やストレスの解消は、ホルモンのバランスを正常化し、髪の毛の成長を促す成長ホルモンを全身に行き渡らせるために必要です。ストレスはホルモンバランスを崩し、血管を収縮させてしまいます。また、成長ホルモンは質の良い睡眠の中で分泌されるため、毛髪は睡眠中に成長するという性質があります。就寝前はスマホやPCを控え、睡眠の質を高めましょう。

有酸素運動は、血行を良くしストレスの解消にもなります。激しいスポーツなどをする必要はなく、ウォーキングなどの軽い運動を毎日続けることが大切です。

おわりに:髪の毛の若返りにはプロペシア®とミノキシジル製剤の併用が効果的

髪の毛の若返りには、プロペシア®とミノキシジル製剤を併用することがおすすめです。プロペシア®によって抜け毛を抑え、ミノキシジル製剤によって髪の毛の成長を促すことで、育毛・発毛に相乗効果を得ることができます。

また、生活習慣の見直しも育毛・発毛には大切です。髪の毛に良くない生活習慣がある人は、生活習慣の見直しとともに薬剤を使うことで、より若返りの効果を得ることができます。

監修 : ソラリアクリニックグループ特別顧問、泌尿器科専門医、指導医、医学博士 古賀 祥嗣

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