EDが原因の不妊はどうやって解決すればいい?

ED

現在、不妊症のカップルは6~10組に1組といわれています。その原因としては男性、女性、その両方にある場合など、さまざまな可能性が考えられます。今回はEDが不妊症の原因となっている場合の治療法などをご紹介します。

男性不妊症の原因にはどんなものがある?

不妊症の原因が男性にあるのは24%、男性と女性の両方に原因がある場合も24%といわれています。つまり、男性側に不妊症の原因があるのは約半数に上るといえるでしょう。その原因として、以下のようなものが考えられます。

造精機能障害

精子をつくる機能に問題があるため、精子の動きが通常よりも悪い、精子の数が少ないなどの状態などのことをいいます。精巣から出ている静脈が膨れる「精索静脈瘤」が原因のこともありますが、原因不明のことも少なくありません。精索静脈瘤があると、腹部から逆流した血液によって精巣の温度が上昇し、精子がつくられにくくなってしまったり、血管が拡張することで精子にダメージを与える物質がつくられるようになり、男性不妊症を引き起こすことがあります。

精路通過障害

射精の際、尿道から通って精子が出ていく通路に問題がある状態のことをいいます。射精しても膀胱に精液が逆流していくために尿道から正常に精液が出ていかない場合や、パイプカットという手術を行った場合にみられます。

性機能障害

ED(勃起不全)や性機能に問題がある状態のことをいいます。糖尿病などの生活習慣病から神経や血管にダメージが及んだ場合や、心理的な負担から症状がみられるものなど、その原因はさまざまです。

その他の障害

上記以外の原因としては、精液の大部分が分泌されている精嚢や前立腺などに問題があり、精巣以外で精子の運動機能に何らかの支障が出ている場合が考えられます。前立腺炎などの場合、精液の成分に変化がみられることで、精子の運動機能に異常が起こることがあるといわれています。また遺伝子異常の病気である、「線毛機能不全症候群」も不妊症の原因になることがあります。

不妊症の場合には、男性、女性、またそのどちらにも原因がある可能性があるため、パートナーと一緒に病院を受診するなどして改善する必要があります。

ED治療薬が胎児に影響する可能性はある?

ED治療薬は、不妊症の改善のために広く使われている薬です。現在、日本で認可を受けているED治療薬には、バイアグラ®、レビトラ®、シアリス®の3種類があり、現在のところこれらのED治療薬が胎児に与える影響はないと考えられています。

ED治療薬である3剤は「ホスホジエステラーゼ-5阻害薬(PDE-5阻害薬)」と呼ばれ、血管を広げて陰茎に血液を流入させることで、勃起の手助けをしてくれる薬です。ED治療薬が精子そのものにはたらきかけるわけではないため、精子の数が減ったり、遺伝子が変化するなどということ可能性も極めて低いと考えられています。また、ED治療薬のひとつであるバイアグラ®を服用した1.5時間後の精液中に含まれるバイアグラ濃度は、投与量の約0.0002%未満といわれ、精子の形態や粘調度、運動性などにも変化はなかったという報告もあります。

女性側でできるED対策はある?

EDは、高血圧や糖尿病など、生活習慣病によって引き起こされている場合があります。一方で仕事上のストレスや過去のトラウマなど、心理的なものが原因になっている場合や、生活習慣病などと心理的な負担の両方が影響して起きている可能性もあります。

また最近では、妊活からのプレッシャーでEDとなる「排卵日ED(タイミングED)」といわれる心理的なEDになることもあるといわれています。このようなことが原因の場合は、女性からの言葉かけや配慮で男性側の心理的負担の軽減することが大切です。EDに悩む男性に過度なプレッシャーを与えることなく、2人で治療をしていくという意識をもってパートナーに接するようにしましょう。

また、どのような原因でEDとなっているかは、本人もなかなか気づけないことがあります。EDに悩んでいる場合には、まず病院やクリニックを受診して医師からアドバイスをもらうことをおすすめします。

おわりに:不妊症に悩んだら、まずは病院へ

年齢が上がるにつれて、自然妊娠の可能性は低くなるといわれています。EDが原因の場合も、その他が原因となっている場合にも、不妊症に悩んでいる場合には早めに病院やクリニックの受診し、原因を特定することが大切ですので、まずは医師に相談することから始めましょう。

監修 : ソラリアクリニックグループ特別顧問、泌尿器科専門医、指導医、医学博士 古賀 祥嗣

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