薄毛の予防対策や治療方法は女性と男性で違うの!?

薄毛

男性の方が薄毛に悩んでいるというイメージが先行しがちですが、最近では女性の約10人に1人が薄毛に悩んでいるといわれています。今回は男性と女性の薄毛の違いや治療法などについてご紹介します。

女性の薄毛と男性の薄毛の違いとは!?

最近は、薄毛に悩む女性も増えてきています。
男性と女性の薄毛の違いは、男性が頭頂部や前頭部に薄毛の症状が出るAGA(男性型脱毛症)に悩む人が多いのに対し、女性は頭皮全体に薄毛の症状が出やすいという点です。

例えば、「FAGA(女性男性型脱毛症)」は年齢を重ねるにつれて女性ホルモンが減少し、男性ホルモンの影響を受けやすくなることによって引き起こされます。
また同じように女性ホルモンの増減によって発症する「分娩後脱毛症」は、妊娠中に増加していた女性ホルモンが出産後に減ることでホルモンバランスが崩れ、髪の毛が抜けやすくなる脱毛症です。その他にも、過度なダイエットやストレスなど、複数の原因が絡まって引き起こされるといわれている「びまん性脱毛症」など、女性の薄毛の種類にはさまざまなものがあります。

AGAとFAGAって何が違うの?

AGAは主に男性ホルモンが深く関わっているといわれています。AGAは、男性ホルモンである「テストステロン」が5αリダクターゼという酵素と結びつき、同じく男性ホルモンである「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変化することで引き起こされます。

5αリダクターゼには「1型」と「2型」の2種類ありますが

    • AGAの原因であるDHTを生成するのは2型5αリダクターゼであること
    • 2型5αリダクターゼは髪の毛の成長の司令塔と呼ばれる毛乳頭に多く存在していること
    • 2型5αリダクターゼは前頭部や頭頂部に多い

などが、AGAの特徴である「頭頂部・前頭部の進行性の薄毛」の原因と考えられています。

一方のFAGAの発症には女性ホルモンが関係していますが、男性ホルモンが薄毛の原因になるというメカニズムはAGAと同様です。
髪の毛を成長させるはたらきがある女性ホルモン「エストロゲン」は、早い人だと35歳前後から、加齢とともに分泌量が減少していき、さらにエストロゲンの分泌量は生活習慣の乱れや過度なダイエットなどによって減少することもあります。

このように、加齢や生活習慣などでエストロゲンの量が少なくなってしまうことで、男性ホルモンであるテストステロンからの影響を受けやすくなってしまうことがFAGAの原因と考えられています。
AGAが頭頂部や前頭部が薄くなりやすいのに対しFAGAは頭皮全体が薄毛になりやすく、FAGAはAGAのように髪の毛が減り続けるというようなことはほとんどありません
これは、加齢などで女性ホルモンの量が減っても、ある一定量は分泌され続けるためと考えられえます。

対処法や治療法も男女で違うの?

男性と女性では使える薬などが違い、治療法も異なります。

男性
男性の場合、有効成分のフィナステリドを配合した「プロペシア®」、デュタステリドを配合した「ザガーロ®」、またミノキシジルなどが主に使われます。プロペシア®は薄毛に関わる2型5αリダクターゼを抑制し、ザガーロ®は1型と2型両方の5αリダクターゼを抑制するという違いがあります。
またミノキシジルは血行の拡張や、毛母細胞を活性化するなどのはたらきがあり、頭皮環境を整えます。
女性
女性の場合、プロペシア®、ザガーロ®ともに使用することができません。効果を確認できていないほか、妊娠中や授乳中の女性が服用した場合には、胎児や乳児の発達に影響を及ぼす可能性があるためです。
ただし、ミノキシジルについては配合濃度の低い女性用のものであれば、使用することができるといわれています。
男女共通の注意点
男性、女性ともに薬にはそれぞれ副作用もあるため、使用には注意が必要です。
また、男性、女性ともに、ストレスを解消すること、生活習慣を見直すことなどである程度改善がみられることがあるので、薬だけに頼らず健康的で規則正しい生活を送るようにしましょう。

おわりに:男性と女性で、薄毛の症状や原因などは違う!

女性の薄毛も男性とメカニズムは似ています。しかし女性の場合は女性ホルモンが関わるなど、男性とは違う点も多くあります。家族や恋人など、女性が薄毛で悩んでいる場合は早めに病院を受診するよう促すなど、男性も一緒に対策を考えていきましょう。

監修 : ソラリアクリニックグループ特別顧問、泌尿器科専門医、指導医、医学博士 古賀 祥嗣

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