男のうつは男性更年期が原因!?治すためにはどうすればいい?
女性が更年期になるとうつ症状が現れることはよく知られていますが、男性にも更年期障害があることや、男性にも精神的な症状が出ることがあることはあまり知られていません。
自分はうつかもしれない、と思っている男性は、もしかしたら更年期障害の一環かもしれません。男性更年期のうつ状態と原因、治療法について解説していきます。
男性の「うつに似た症状」は更年期で起こる!?
男性更年期障害で起こる症状は、体の症状と精神的な症状の2つに大きく分けられます。
- 身体症状
- 朝立ちがなくなる、勃起不全など男性機能の消失
- のぼせ・多汗、全身倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力・骨密度の低下、頭痛・めまい・耳鳴りなど
- 精神症状
- 不眠、無気力、イライラ、性欲減退、集中力・記憶力の低下
- 抑うつ症状
男性更年期障害でも、抑うつ症状が出ることがあり、精神疾患であるうつ病と、更年期障害による抑うつ症状は判別が非常に難しい症状です。特に、更年期障害の他の症状が目立たず、抑うつ症状が強く出てしまった場合、初めに精神科を受診してしまう人も少なくありません。
しかし、精神科でうつ病と診断された場合に処方される抗うつ剤の中にはテストステロンを減少させてしまう作用のあるものもあり、更年期障害から来る抑うつ症状であった場合は症状を悪化させてしまうため注意が必要です。
男性更年期障害による抑うつ症状は、一般的に「死にたい」などの気持ちが強く起こる「希死念慮」という状態にまで至らないとされています。そこで、希死念慮がない場合はまず泌尿器科などの男性更年期障害を診察できる診療科を受診するのが良いでしょう。逆に、希死念慮が目立つ場合は精神疾患のうつ病である可能性が高いため、早めに精神科を受診する必要があります。
テストステロンは、なぜ減少してしまうの?
男性ホルモンであるテストステロンは、以下のような原因で分泌量が減ることがわかっています。
- 加齢
- 過剰なストレス
- 不規則な生活
- 睡眠時間の減少
- 飲酒・喫煙の習慣
テストステロンは、20代をピークに加齢によってだんだんと減っていきます。テストステロンの減少で起こる代表的な症状に勃起不全(ED)がありますが、これは60代以上の日本人男性の60%に見られる現象で、高齢者では珍しいことではないことからも、テストステロンが加齢で減少することがわかります。
また、過剰なストレスや不規則な生活、睡眠時間が少ないこともテストステロンの減少を引き起こします。ホルモンバランスがストレスによって崩れやすいのは男女ともに有名ですが、さらにホルモンは睡眠中に分泌されることがわかっています。ですから、睡眠の質や量が不十分であると、テストステロンの分泌量は減りやすくなります。
男性更年期の症状を改善するには、どんな方法がある?
男性更年期障害の症状を改善するためには、「減ってしまったテストステロンを外部から補充する」「体内でテストステロンが分泌されやすいような環境を作る」という両面からアプローチするのが効果的です。
漢方薬やホルモン補充療法による治療ってどんなもの?
漢方薬やホルモン補充療法によって、テストステロンを分泌しやすくするよう働きかけたり、テストステロンを直接外部から補充したりする方法があります。
漢方薬でよく使われるのは、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。これは、テストステロンを増やす効果があるほか、だるさや無気力、疲れやすいなどの症状にも効果があります。テストステロン補充療法で使われる薬剤には、注射や経口薬、塗り薬がありますが、注射以外の薬剤には保険が適用されません。医師とよく相談し、自分に合った治療法を選びましょう。
また、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、ホルモン補充療法で心疾患が増える危険性を指摘していますが、これはアメリカでのテストステロンの使用量が非常に多く、日本での使用量でこのような危険性は報告されていません。日本で医師の指導のもと、注射などのホルモン補充療法を行う場合、危険性はほとんどないと考えて良いでしょう。
生活を見直してテストステロンを分泌しやすい体にしよう
テストステロンの分泌量を維持するための生活は、「適度な運動」「バランスのとれた食生活」「良質な睡眠」が重要なポイントです。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
適度な運動は、筋肉を使います。筋肉を使うことでテストステロンの分泌が増える効果が期待できます。また、同時に軽くでも筋力トレーニングを行うことで、相乗効果が期待できます。おすすめは1日30分のウォーキングで、生活習慣病の予防にもなります。だらだらと歩くのではなく、スロージョギングなどでメリハリをつけながら行いましょう。他人と競い合うことも、男性ホルモンであるテストステロンの活性化に有効です。
バランスのとれた食生活は、テストステロンの分泌だけでなく健康維持に欠かせません。中でも、テストステロンの分泌に効果があると言われているのはニンニク・タマネギなどのネギ類や、山芋などのネバネバ食品です。これらを積極的に摂取するようにしましょう。また、運動によって傷ついた筋肉の回復のために、肉や魚・卵・牛乳・豆類などの良質なタンパク質を摂取することも大切です。
また、ホルモンが睡眠中に分泌されることは前項でお話した通りです。睡眠中はリラックスして副交感神経が優位となることで、テストステロンが分泌されます。逆に、一晩徹夜をすると、2〜3日はテストステロンが下がったままになります。規則正しい生活を心がけ、十分で質の良い睡眠を確保するようにしましょう。
おわりに:男性の抑うつ症状、もしかして更年期障害かも?
男性の抑うつ症状は、更年期障害から起こることもあります。これに気づかず精神科でうつ病の診断を受けてしまうと、抗うつ剤によってテストステロンが余計に減少し症状を悪化させてしまうことがあるため、受診には注意が必要です。
男性更年期障害の改善には、テストステロンを維持し、増やすのがポイントです。医師とよく相談の上、外部から補充する方法と内部から分泌を増やす方法の両方を上手に取り入れていきましょう。