• HOME
  • コラム
  • ED
  • 新しいED治療、幹細胞上清療法って何?幹細胞移植とどう違うの?

新しいED治療、幹細胞上清療法って何?幹細胞移植とどう違うの?

ED

精神的、または肉体的要因によって、年代を問わず起こり得る勃起不全・ED。
男性としての自信、パートナーとの関係を考えると、早急に治療しておきたいですよね。
今回はED治療のなかでも比較的新しい治療法「幹細胞培養上清療法(かんさいぼうばいようじょうせいりょうほう)」について、解説していきます。

歯髄幹細胞上清液はEDに効果がある?

まずは、歯髄幹細胞培養上清液(しずいかんさいぼうばいようじょうせいえき)とは何か、理解するところから始めていきましょう。

「歯髄」「幹細胞」「上清液」の意味は、それぞれ以下の通りです。

歯髄(しずい)とは
歯のなかにある柔らかい組織で、神経や血管が分布している部分。歯のコアにあたる部分で、身体で言う脊髄のようなもの。
幹細胞(かんさいぼう)とは
特定の臓器・組織に成長する前の、細胞の種のようなもの。身体のそれぞれの組織に固有に存在していて、歯髄にあるものは「歯髄幹細胞」と呼ばれる。
培養上清液(ばいようじょうせいえき)とは
幹細胞を人工的に培養するときに生成される、上澄み液のこと。細胞の成長に必要なさまざまな因子が含まれている、栄養成分たっぷりの液体。
培養した細胞の種類により、含まれる成分や因子が異なると言われる。
歯髄幹細胞を培養した上清液の場合は、多くのタンパク質と数百種類のサイトカインや成長因子、ケモカイン、エクソソームなどの生理活性物質が含まれている。

つまり「歯髄幹細胞培養上清液」とは歯髄幹細胞を培養したときに得ることのできる、さまざまな成長因子・タンパク質・生理活性物質を含んだ液体、と理解できます。

近年、この歯髄幹細胞培養上清液が根本的なED治療に有効だとして注目されているのです。

勃起は陰茎海綿体の血管内皮という細胞から一酸化窒素が放出され、これに伴ってサイクリックGMという物質が産出されることで血管が拡張し、成立します。
このため、勃起を促す物質の分泌を司る血管内皮細胞が損傷すると、勃起機能そのものが低下してEDとなるケースがあるのです。

歯髄幹細胞培養上清液には、この損傷した内皮細胞を修復する効果があるとされます。
治療方法としては、陰茎の海綿体の左右に歯髄幹細胞培養上清液を注射し、内皮細胞の修復を行っていきます。
歯髄幹細胞培養上清液に含まれる成長因子などによって内皮細胞が修復されれば、勃起機能の持続的な改善が見込めるとされているのです。

幹細胞移植と幹細胞培養上清液治療の違いとは!?

幹細胞移植治療と幹細胞上清液治療の大きな違いは、以下の4点です。

治療方法の違い
培養した細胞そのものを患者の身体・組織に移植する幹細胞移植治療に対し、幹細胞培養上清治療では、上澄みの液体だけを患者の身体・組織に注入します。
安全性の違い
幹細胞移植治療が発熱・倦怠感・幹細胞に含まれるタンパク質に対するアレルギーを起こすリスクがあるといわれています。
一方、幹細胞培養上清治療では上記のようなリスクがほとんどなく、安全性が高い治療法だと認識されています。
適用範囲の違い
一般的に、幹細胞移植治療を行うには厳格な法規制が適用されるため、慢性的疾患にのみ適用されます。
一方、幹細胞培養上清治療には法的規制が少なく、急性悪性疾患にも適用可能です。
コストの違い
ここまでに紹介した治療法・安全性・適用範囲の違いから、それぞれの治療コストにも大きな差があります。
一般的に、幹細胞移植治療の方が高コスト、幹細胞培養上清治療のほうが低コストになります。

ED治療に幹細胞培養上清液を使った治療が有効なら、上澄みである上清液よりも、幹細胞そのものを使った方が治療効果が高いようにも感じますよね。
しかし、それぞれの治療法の安全性と効果に比較したとき、幹細胞移植治療よりも幹細胞培養上清治療の方が、手軽で安全性が高い治療と判断できます。

このためリスク・コストが低く、かつ幹細胞移植と同等の効果が期待できるとされる幹細胞培養上清治療が、積極的に用いられているのです。

幹細胞培養上清療法は、ED以外の治療にも効果がある!?

陰茎の内皮細胞以外にも、体内をまわって損傷した細胞を修復する作用のある幹細胞培養上清療法には、以下のような疾患の治療効果も期待されています。

  • 血管が詰まることによって起こる、梗塞系疾患
  • 肝硬変
  • リウマチ
  • 糖尿病、高血圧などの生活習慣病
  • アルツハイマー、認知症疾患
  • 薄毛、脱毛、AGA
  • 肩こりの軽減、疲労回復
  • アトピー性皮膚炎など、各種アレルギー疾患
  • パーキンソン病予防
  • ダイエット
  • しみ、しわ、たるみを改善するアンチエイジング

なお、どのような効果を得たいかによって幹細胞培養上清液の注入方法や箇所は変わってきますので、詳しくは担当医に確認してください。

おわりに: 新しい治療法:幹細胞培養上清療法はEDの根本治療への効果が期待できる

幹細胞培養上清療法とは、人体の各組織の種である幹細胞を人工的に培養したときに取れる上清液を注入して、身体の不調を治す治療法です。ED治療では、歯髄幹細胞から取れた上清液を陰茎の左右海綿体に注入して、勃起を促す血管内皮細胞を修復させて勃起機能の改善を目指します。安全性・効果が高い新しいED治療として、近年注目されています。
他の疾患への効果も期待されているので、興味のある方は病院で医師に相談しましょう。

監修 : ソラリアクリニックグループ特別顧問、泌尿器科専門医、指導医、医学博士 古賀 祥嗣

関連記事一覧