ED改善トレーニングには、スクワットがおすすめ!?

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ED改善のために、筋力トレーニングが役に立つことを知っていますか?筋肉を刺激することで、テストステロンの分泌が増え、EDだけでなく男性機能の改善に役立つのです。
そんな筋力トレーニングの中でも、特にED改善にはスクワットがおすすめです。この記事では、なぜスクワットがED改善に効果的なのか、そして、ED改善のためのメンタルトレーニングも含めて解説します。

スクワットでEDが改善するって本当?

太腿は「第二の心臓」と呼ばれることがあります。これは、太腿の前面にある「大腿四頭筋」と呼ばれる筋肉が下半身の血液を循環させるポンプの役割をしていることによるもので、この筋肉を鍛えて血液循環を良くすることで、心肺機能が高まると言われています。大腿四頭筋が発達すると、血管を収縮・膨張させる力が強まるためペニスに送り込まれる血液も増え、ED改善につながるのです。

大腿四頭筋を鍛えるためのトレーニングには、スクワットがおすすめです。スクワットを日課にしたところ、EDの症状が改善したという80歳の男性の報告もあるほどです。また、スクワットに限らず、筋肉を鍛えることでテストステロンという男性ホルモンが増加します。テストステロンは性欲を始め男性機能を司るホルモンですから、筋トレは男性機能を賦活化する効果が期待できると言えるのです。

また、スクワットの際に「骨盤底筋群」という筋肉も同時に鍛えるとより効果が期待できます。骨盤底筋群は骨盤周りの筋肉であり、ベニスに血液を送り込む大腿四頭筋に対し、ペニスに溜まった血液をそこに留めておく役割があります。つまり、勃起を起こさせるのが大腿四頭筋、勃起を維持するのが骨盤底筋群ということです。

骨盤底筋群を鍛えるためには、肛門をキュッと締める動作が効果的です。つまり、スクワットの際に肛門も締めながら行えば、「大腿四頭筋」と「骨盤底筋群」の双方を同時に鍛えることができます

ED改善のための正しいスクワットのやり方とは?

ED改善を目的としたスクワットでは「大腿四頭筋」と「骨盤底筋群」を始め、「大腿二頭筋」「大臀筋」などの大きな筋肉をまんべんなく鍛えていく必要があります。そのためには、「フルスクワット」という、通常のスクワットよりも深くしっかりと沈み込む方法で行うのが理想的です。

  1. つま先をやや外側に向け、肩幅程度に足を開く
  2. 胸を張って背筋を伸ばし、顔を正面に向ける
  3. お尻を軽く後ろに突き出し気味にしながら、ゆっくりと膝を曲げて腰を落としていく
  4. 膝が90度曲がった状態になったら、座るように腰を落とす
  5. 膝に負担をかけないよう、大腿四頭筋とハムストリングスを意識しながらゆっくりと立ち上がる
  6. 完全に直立する手前で止め、再び腰を落とす

両手は胸の前に伸ばすと体幹のバランスが取りやすく、フォームを崩しにくいです。頭の後ろで組むと、肩甲骨が広がって胸を張ることができます。どちらでもやりやすいフォームで構いません。10回×2セットから始め、慣れてきたら徐々に回数とセット数を増やしていきましょう。とは言っても、回数を増やすことが目的ではありませんので、最終的に20回×3セット程度できるようになれば十分です。また、頻度は週2〜3回程度で構いません。

ただし、もともと運動習慣がなく、股関節や足関節・膝の関節や体幹が鍛えられていない人がスクワットを行う場合、いきなりフルスクワットから始めると関節を痛めるリスクがあります。慣れていない人は決して無理をせず、通常の膝を90度に曲げるハーフスクワットから行って体を慣らしてからフルスクワットを行うのが良いでしょう。

スクワットと有酸素運動をあわせるのがおすすめ

ED改善のためのアプローチには肉体的なものと精神的なものの両面がありますが、肉体的なアプローチの中でも運動は非常に大切です。食生活の改善とともに適度な運動を行えば、生活習慣病から発症するEDも予防することができます。運動と言っても激しいものを行う必要はなく、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を30分程度続けるだけで構いません。

運動は生活習慣を改善し、全身の血流を良くしてくれます。血流が良くなれば心肺機能や体力の増強にもつながり、血液を送り込み維持する勃起機能だけでなく、性行為そのものの維持にも効果があります。性行為は自分で思っているよりもかなり激しい運動ですから、単純な勃起機能だけでなく性行為そのものの維持には体力が重要です。毎日は無理でも、2日に1回程度は有酸素運動を行う習慣をつけると良いでしょう。

また、有酸素運動によって内臓脂肪が燃焼します。脂肪の中には「アロマターゼ」という酵素が多く含まれていて、この酵素は男性ホルモンであるテストステロンを女性ホルモンであるエストロゲンに変換してしまいます。そこで、有酸素運動で脂肪を燃焼させて減らせば、テストステロンが分解されにくくなるのです。

これらのことから、ED改善のためには前章でご紹介したスクワットに加え、有酸素運動を組み合わせるのがおすすめです。スクワットで分泌されたテストステロンをできるだけ分解させなければ、テストステロンの量を増やすことができるという仕組みです。どちらの運動もバランス良く行うことが大切です。

また、運動によって筋肉の量が増えると、増えた筋肉を維持するためにテストステロンの分泌量が増えます。同時に筋肉自体が「アンドロゲンレセプター」という受容体を持ち、テストステロンを消費します。こうして、常にテストステロンが分解されては産生される良い循環を作り出すことができます。

ただし、筋トレ(スクワット)はやればやるほど良いというわけではないため注意が必要です。過度な運動を繰り返し続けると、体内で活性酸素が大きく増加します。すると、過剰な酸化ストレスによって体組織が傷つけられ、細胞がダメージを受けたり、テストステロンの循環が滞ってしまったりする恐れがあります。運動をする際は体に大きな負担がかからないよう、ほどほどを心がけましょう

心のトレーニングも忘れずに

EDの原因は、加齢や生活習慣などの肉体的なものがクローズアップされがちですが、過去の性交渉時に上手く行かなかった記憶や日々のストレスなどといった精神的なものもあります。こうしたEDを機能性(心因性)EDと呼び、肉体的なEDである器質性EDとは違って解剖学的な性機能障害ではありません。

器質性EDは、抑うつ状態や双極性障害、不安障害などの精神疾患から合併して起こることもあります。精神疾患を始めとした心の不調が大元の原因である場合は、仕事やプライベートのストレスなどの根本的な原因を取り除いたり、メンタルトレーニングをしたり、自律神経を整えたりすることで改善をはかります。

メンタルトレーニングでED改善!

まず、「勃起しなければならない」「男はこうでなくてはならない」という思い込みはやめましょう。「〇〇しなければならない」という考え方はメンタルに大きな負荷をかけ、自分を追い詰めてしまいます。そこで、「完璧にできなくてもいい」「7割くらいでいい」と自分を許すことからスタートしましょう。極論、「勃起しなくてもいいんだ」と楽に構えることで、逆に自然と回復できる人もいます。

また、マインドフルネスの手法も非常に有効です。1日5分程度、目を閉じて思考をからっぽにし、浮かんでくる悩みや怒りなどの雑念を1つずつ笹舟に乗せて川に流したり、吹き飛ばしたり、捨てたりするイメージを持ちましょう。ストレスを軽減し、ポジティブな思考習慣をつけることができます。

自律神経を整えてED改善!

EDは自律神経の乱れから来ることもあります。自律神経を整えるためには、適度な運動や十分な睡眠、日光を浴びることなどが効果的です。入浴時に、ペニスにお湯をかけたり水をかけたりして、温かさや冷たさなどの感覚を感じ、しっかりとセンサーを働かせましょう。外出した際に、湿度や風の音などに意識を傾けることも神経を鍛え、整える効果があります。

また、自律神経はメンタルの状態によって乱れることもあり、そういった意味でもメンタルトレーニングを行うことは重要です。また、既にパートナーがいる人はパートナーに問題を伝え、理解を得るとともに問題を共有してもらい、二人三脚で一緒に問題を解決していくことが回復への近道です。

おわりに:ED改善にはフルスクワットがおすすめ!有酸素運動と一緒に行おう

ED改善には、フルスクワットを行うのがおすすめです。しかし、運動に慣れていない人がいきなりフルスクワットを行うことは腰や膝を痛める可能性があります。痛みやつらさを感じるようであればすぐにやめ、一般的なハーフスクワットから徐々に体を慣らしていきましょう。
また、有酸素運動と組み合わせれば、効率的にテストステロンの分泌量を増やすことができます。生活習慣病予防のためにも、筋トレや運動を習慣にしましょう。

監修 : ソラリアクリニックグループ特別顧問、泌尿器科専門医、指導医、医学博士 古賀 祥嗣

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