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男性特有の悩みはストレスが原因?ストレスに強くなる方法はある?

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男性特有の悩みは、長くメンタルが原因であると考えられてきました。しかし、近年の研究でその原因は心因性のものと身体性のものがあることがわかってきています。
心因性と言えば、ストレスが連想されますが、実際に男性特有の悩みでストレスが原因となることはあるのでしょうか?また、ストレスに強くなるための方法にはどんなものがあるのでしょうか?

EDなど、男性特有の悩みの原因はストレスにある?

男性特有の悩み、すなわち男性機能に関する悩みは、心理的・精神的な要因から発生することもあります。「心因性(機能性)ED」「男性更年期障害(LOH症候群)」などがそれに当たり、人間関係や仕事の忙しさなどのストレスが原因となることがあります。

心因性のEDも、男性更年期障害も、一人で抱え込んでいては原因に気づかず、治せないことも多いものです。パートナーに相談して問題を共有してもらったり、医療機関を受診してアドバイスを受けたり薬を処方してもらったり、一人で悩まないことが大切です。

心因性のEDって?

心因性のEDとは、体の機能そのものには何も問題がないのに、過去の経験の記憶や日常生活でのストレス、精神疾患などが原因で起こるEDのことです。会社などの仕事上のストレスや人間関係のストレス、幼少期のトラウマなど、人によって原因はさまざまで、必ずしも性行為と直接関係のない記憶や経験がストレスの原因となることもあります。

そもそも勃起が起こるためには、身体的な男性機能に問題がないことはもちろんのこと、精神的にも性行為に臨めるだけの余裕や安心感などが必要と言われています。不安感や緊張感、焦りを抱えたままではうまく行為に臨めず、かえって空回りして失敗してしまい、失敗の経験がさらに劣等感や「次にやってもダメなのではないか」という予期不安などにつながっていってしまうと考えられています。

また、精神的な不安感や緊張感などは、現在、実際に起こっているまたは近く現実に起こった事実を原因としている場合は「現実心因」、心の奥底に深く根ざしたものを「深層心因」と呼んで区別する場合があります。

現実心因は失恋や離婚・パートナーとの不仲・家庭や職場での人間関係・男性機能へのコンプレックス・経済不安・性感染症への恐怖など、比較的原因がわかりやすく、取り除きやすいものが多いのですが、深層心因はパートナーへの愛憎の葛藤や幼少期の家庭環境でのトラウマなど、本人も全く気づいていない無意識下の問題であることが多く、根治のためには精神分析や長期的なカウンセリングなどの心理療法が必要となる可能性があります。

うつ病などの双極性障害、不安神経症、統合失調症などの精神疾患もEDを引き起こすことがあります。特にうつ状態になると、性欲そのものが減退してしまうため、そもそも性行為を行おうという気になれないことが大きな問題です。うつ病は男性患者が年々急増していて、EDを始めとする男性機能の悩みの、一つの大きな原因となっているのです。

精神疾患の場合、その治療のために飲んでいる向精神薬や抗うつ薬がEDを引き起こすこともあります。これらの薬剤は脳の中枢系に作用するため、精神を安定させる効果がある一方で、性的な欲求や興奮までも抑制してしまう副作用があるのです。このような場合は心因性EDとはやや異なり、薬剤性EDと呼ばれます。薬剤を飲み始めてから性欲減退やEDの症状が現れた人は、主治医に相談して薬の内容を変えるなどしてもらいましょう。

また、うつ病の症状があっても、本人に全くその自覚がなく、精神科や心療内科を受診していない場合もあります。EDや性欲の減退などがうつ病のサインになっている場合もありますので、身体的な原因で思い当たるふしがなければ精神的な原因を疑い、一度病院を受診してみると良いでしょう。

男性更年期障害(LOH症候群)って?

更年期障害というと女性のイメージが強いですが、最近の研究では男性にも更年期障害に当たるものが存在することがわかってきました。女性の更年期障害はエストロゲンという女性ホルモンの分泌が低下することで起こりますが、男性も同様にテストステロンなどの男性ホルモンの分泌が低下、または濃度が減少することで起こります。これはLOH症候群と呼ばれています。

LOH症候群は、身体症状では筋力の低下や疲労感、ホットフラッシュ(ほてりや発汗)、頭痛・めまい、性機能の低下が挙げられます。精神症状では、不安やイライラ、抑うつ症状、やる気の減退、不眠などが挙げられます。

テストステロンの分泌のピークは20代中盤で、その後は年齡を重ねるごとに緩やかに低下していきます。しかし、閉経のある女性のように発症年齢に一定の傾向があるわけではなく、テストステロンの減少は個人差が大きく、早い人では30代で発症することもあれば、高齢になってもほとんど兆候が現れない人もいます。

テストステロンの分泌量は加齢によっても減少しますが、何よりも大きな原因となるのがストレスです。特に、若い人はストレスの影響を受けやすく、強いストレスに日常的に晒され続けることでテストステロンの生成・分泌が妨げられてしまいます。こうして、30代くらいであってもLOH症候群を発症してしまうことがあるのです。

血中テストステロンの値は300〜800ng/mLを基準値としていて、350ng/mLを下回るとLOH症候群が疑われます。テストステロンの数値はクリニックで検査することができますので、身体症状と精神症状の双方に心当たりがある人はぜひ一度受診してみましょう。

ストレスを緩和するための対策

「LOH症候群」「心因性ED」のどちらもメンタル的なストレスを軽減することで改善が見込めると考えられます。ストレスの原因はわかりやすいこともありますが、どちらかというと本人も気づいていないことが原因となっていることが多いのです。そのため、医療機関を受診して医師と問診をしていく中で、ストレスの原因を発見し、できるだけ緩和する対策をとるのが治療の第一歩と言えます。

しかし、問診をしていてもストレスの原因がはっきりとわからない場合や、簡単に取り除けるものではない場合もあります。その場合は、日常生活の中でストレスそのものを緩和できるような対策をとることも大切です。具体的には、「睡眠や食事をしっかりとる」「適度な運動をする」「趣味を持つ」などがおすすめです。

ストレスを緩和するための生活習慣って?

ストレス対策のための生活習慣としては、まず睡眠しっかりとりましょう。睡眠不足はイライラや情緒不安定の原因になります。十分な睡眠は心身の疲労を回復してくれ、テストステロンの分泌を含めた全身のホルモン循環に良い影響を与えてくれます。睡眠時間は5〜6時間程度が最低限のラインですが、適切な睡眠時間は人によって変わります。また、枕やベッドを合うものにしたり、眠る前はスマホやPCから離れたりして、睡眠の質を高めることも大切です。

食事は栄養バランスのとれた食生活を心がけ、脂質や糖質を摂りすぎないよう注意しましょう。脂質や糖質を摂りすぎると、肥満の原因になります。脂肪にはテストステロンを分解してしまうアロマターゼという酵素を分泌する作用がありますので、脂肪を減らすこともテストステロンを過剰に分解させないために大切なことなのです。

また、体脂肪を減らすためには運動も効果的です。1日30分の有酸素運動を行うのが理想ですが、時間の取れない人は10分程度の早歩きからでも構いません。さらに、筋力トレーニングを行い、筋肉を刺激するとテストステロンの分泌量が増えます。これもジムに行ったり重いバーベルを上げ下げする必要はありません。自重でゆっくりとスクワットを行うだけでも十分に効果があるのです。

テストステロンは、積極性や社会性と密接な関係があるホルモンです。そこで、仕事以外に生き生きと楽しめる趣味を持ち、「生きがい」を見つけることもテストステロンの分泌には大切です。ゴルフやテニスなどのアウトドアなものから、カラオケや将棋などインドアなものまで何でも構いません。心から楽しめてわくわくできるような趣味を見つけて、テストステロンの分泌を増やしましょう。

ストレスに強くなる思考の獲得も重要

どうしても取り除けないストレスの前には、ストレスに強い思考パターンを作るという「メンタルトレーニング」などの方法も効果的です。ある出来事が起こったとき、その受け取り方の違いによって生じるストレスに差が生じることがわかってきています。そこで、ストレスの生じにくい思考パターンを形成するのです。

一般的に「ポジティブ思考」などと呼ばれることもありますが、ただやみくもに「起こったことの全てが良いこと」などと漠然と思い込もうとしても難しいものです。そこで、「非合理的な思考パターンを合理的な思考パターンに変える」という思考パターンの転換であれば、取り組みやすいと考えられます。

具体的には、以下のように思考パターンを変えていくと良いでしょう。

思考パターン 非合理思考 合理的思考
全か無かで考える。極端な完璧主義者 物事を全て0か100のどちらかで考えてしまう 「成功したこと」「良かったこと」に意識を向ける。たとえ100%でなくても良いと考える
過去を過剰に一般化し、失敗をずっと引きずってしまう 一度の失敗をずっと繰り返すものだと思いこんでしまう 過去は過去と割り切り、状況は常に変化していることを理解する
起こった出来事をマイナスに捉えやすく、常に内心でのバイアスがかかってしまう 良いことに意識が向かず、全てを悪い方向に解釈してしまう 100%全てが悪いという出来事はそうそうない。必ずある「良かったこと」に意識を向けるようにする。
自分に厳しすぎる、自己肯定感が低く過小評価しすぎてしまう 悪い部分ばかりが目につくため、良いところを適切に評価できない 自分に対して寛容になる。些細なことでも、成功したり良いところを意識的に認める
「〜べき」思考に陥ってしまう 具体的な根拠もないのに、「常識」などで他人や自分自身をも縛りつけてしまう 世界には多様な考え方があることを理解し、「〜べき」思考から自分を解放する

これらの非合理的な思考パターンに心当たりがある人は、一度合理的な思考パターンを試してみてはいかがでしょうか?ふっと肩の力が抜け、楽になるかもしれません。そうなれば、ストレスによる心理的な負担はずっと軽減されるはずです。

日常生活で起こる出来事には、自分でコントロールできるものとできないものがあります。コントロールできないことは、いくら悩んでも不安に思っても仕方ありません。そこで、コントロールできないことはいったん忘れ、コントロールできることだけを合理的に考えて「良かったこと」「成功したこと」を意識するようにしましょう。毎日の仕事の達成感や、趣味などでの自分が成長したという感覚を大切にしている人ほど、激務でも乗り切ることができ、結果を出すこともできているのです。

おわりに:男性機能を司るテストステロンはストレスで減る!ストレスに強くなろう

男性機能に関わるテストステロンは、強いストレスに晒され続けると大きく減少してしまうことがわかっています。テストステロンの分泌が減ると、若くてもEDや男性機能の低下が起こることがあり、さらにコンプレックスや不安感・劣等感などにつながる悪循環を生んでしまいます。

ストレスに強くなるために、生活習慣や思考パターンを改善し、テストステロンの分泌を促していきましょう!

監修 : ソラリアクリニックグループ特別顧問、泌尿器科専門医、指導医、医学博士 古賀 祥嗣

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