肥満がEDの原因になるのはなぜ?おすすめの運動はある?
男性にみられるED(勃起障害)は近年、専門クリニックがオープンするなど一般的な病気となりました。加齢やストレスなどさまざまな原因が考えられますが、ひょっとすると「肥満」が原因かもしれません。この記事ではEDと肥満の関連性について紹介します。
肥満度が高いことがEDを引き起こすメカニズム
まず知っておいてもらいたいのは、肥満とは体重によって診断されるのではなく「脂肪組織が過剰に蓄積した状態」を指すということです。国際的に定められた基準である「BMI(Body Mass Index)」の数値で肥満を診断することが多いです。
米国で大規模に行われているMMAS(マサチューセッツ・メイル・エイジング・スタディ)という調査では、「BMIが高くなるとEDが悪化し、改善も難しくなる」という相関関係が報告されました。
日本におけるBMIでみる健康状態の目安
BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))
- BMI=22 健康的
- BMI>25 肥満(糖尿病や高血圧のリスク上昇)
- BMI>30 男性ホルモンの低下
- BMI>40 男性ホルモンの著しい低下
同じく米国で約8年間で行われた追跡調査によると「EDは肥満に関係し、運動不足とも関係が深い」という分析がされています。
これらの調査は肥満がEDの原因や悪化させる要因になりうることを示しましたが、同時に肥満の改善がEDの予防や治療にも関連性を持つという可能性を提示しました。次の項目からは、肥満の改善のうち運動不足解消に着目していきます。
肥満とEDの予防におすすめの運動とは!?
正常な勃起では、ペニスの血管の働きや血液の循環がスムーズに行われています。血行が悪い、血液がドロドロだ、血管が圧迫されている、などの状態はEDを招きかねません。また骨盤周りの筋肉や神経が健康であることも、正常な勃起を助けます。
日常生活に適度な運動習慣を取り入れて「血行・筋肉・神経」をすこやかに保つことが肝心です。
ウォーキングよりもランニング
ポルトガルの研究チームの調査によると、ED改善効果が高いのは有酸素運動で、特に運動強度が中~高強度のものであるということがわかりました。たとえばランニングやジョギング、水泳などです。運動は短期間ではなく、長期間続けて習慣化させた方が効果が大きいと考えられています。
有酸素運動×筋トレ
有酸素運動に筋トレを組み合わせると効果アップが期待されます。特に下半身やPC筋(骨盤底筋)を鍛えるトレーニングは有効とされています。実践したい筋トレと、鍛えたいポイントを説明します。
- PC筋トレーニング
- PC筋は肛門の前後に位置する筋肉の総称で、インナーマッスルです。PC筋を鍛えると、ペニスの海綿体に流れ込んだ血液の逆流防止、勃起時間の維持などの効果が期待されます。
「肛門を5秒間締め、5秒間緩める」を1セットで、1日に10回×4セットを目安に行ってください。デスクワークや電車移動中でもできるので、気がついたときにやってみましょう。 - スクワット
- 1日に10回×3セット行ってください。PC筋が鍛えられるほか、背骨周辺の筋肉や勃起中枢神経のある腰椎も活性化されます。
ただし、自転車には注意!
有酸素運動がED改善に効果的だと紹介しましたが、自転車は注意が必要です。サドルに乗った状態では、ペニス周辺の神経や血管が圧迫され、神経障害と血行障害につながる可能性があります。
自転車に頻繁に乗る人のなかでも、特にEDを引き起こすリスクを紹介します。当てはまる項目が多い人は改善を心がけましょう。
自転車によるEDのリスク
- BMIが25以上である
- メタボリック症候群と診断されている
- 高血圧症、糖尿病、動脈硬化などの疾患がある
- 年齢が50歳以上である
- 日常的に10年以上、自転車に乗っている
- 週に3時間以上、走行している
- 週に62km以上、走行している
- 乗車中または乗車後に、会陰部にしびれを感じたことがある
自転車によるEDリスクの改善
- サドルをクッション性の高いもの、坐骨の幅に合うものに変える
- パッド入りの自転車用スパッツを着用する
- ハンドルよりサドルを高くして前傾姿勢を取る(ただしハンドリングの難易度が上がるため安全性を十分に考慮する)
おわりに:BMI25以上ならED予防。運動を習慣化させましょう
BMIの数値が25以上の人は、血行障害や運動不足が体に影響を及ぼし、EDを引き起こす可能性があります。予防や改善には運動の習慣化がおすすめです。特に有酸素運動と筋トレを組み合わせ、長期的に取り組んでみてください。