持続勃起症 ― 望んでないのに勃起が止まらないのはなぜ?
特に性的刺激や性的興奮を覚えていないにも関わらず、勃起状態が続いてしまう場合があります。その場合、もしかしたら「持続勃起症」という病気かもしれません。ここでは持続勃起症の基本や原因、治療の必要性などを解説します。
持続勃起症とは!?
持続勃起症とは、性的刺激や性的興奮などと関係なく、勃起状態が4時間以上継続している病気のことです。これには大きく「虚血性持続勃起症」と「非虚血性持続勃起症」の2種類があります。それぞれで病態や症状が異なるので、以下でその違いを確認します。
虚血性持続勃起症とは?
虚血性持続勃起症とは陰茎海面体内の血液の戻りが悪くなることで、勃起状態が続いてしまうタイプです。特徴は完全勃起の状態であり、激しい痛みを伴うことです。また、組織が低酸素状態になっているため、その状態が続くと組織障害やED(勃起不全・勃起障害)を起こします。痛みを伴う勃起状態が続く場合は、すぐに医療機関を受診してください。
非虚血性持続勃起症とは?
非虚血性持続勃起症とは陰茎海綿体内に動脈血が流入し続けることで、勃起状態が続いてしまうタイプです。特徴は不完全な勃起状態であり、痛みなどは伴わない点です。また、血液は流れ続けているので、基本的に「緊急性は高くない」といわれています。なお、日本の場合は「非虚血性持続勃起症」の方が多いとされています。
何が原因で勃起が続くの?
持続勃起症は通常、血管や血液成分、神経などに異常が生じることで発症すると考えられています。また、ED治療薬を服用している場合は、それが持続勃起症の原因になっている可能性もあります。そのほか、以下のような病気やケガが原因になります。
- 血液疾患(鎌状赤血球症や白血病など)
- 前立腺がん
- 陰茎またはその周囲のケガ
- 脊髄損傷
- 薬物(抗うつ薬、降圧剤、抗凝固剤など)
このうち、成人男性に多い原因は「ED治療薬の服用によるもの」で、男児に多い原因が「血液疾患」といわれています。また、虚血性持続勃起症の場合は病気や薬によるものが多く、非虚血性持続勃起症の場合は会陰部のケガによるものが多いです。ただし、中には原因を特定できない場合もあります。
治療は必要?EDの原因になるって本当?
勃起持続症が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。治療せずにいると、勃起障害(ED)を発症したり、海綿体が壊死したりする恐れもあります。このように緊急性が高い場合があるので、すぐに泌尿器科などを受診しましょう。
虚血性持続勃起症の治療方法について
虚血性持続勃起症の診断がついた場合は、速やかに治療を始める必要があります。治療では、主に以下のようなことを行って、勃起状態の解消を目指します。
- 圧力や腫れを軽減するために、海綿体の血液を抜き取る
- 陰茎への血流を減少させるために、血管収縮剤を陰茎に打つ
ただし、これらの治療を行っても改善しない場合は「シャント手術」を行います。これは外科的手術を行って、陰茎海綿体の血液を正常に戻す治療です。シャント手術にはいくつかの種類があり、中でも「陰茎海綿体の血液を亀頭に逃がす方法」がよく使われています。
非虚血性持続勃起症の治療方法について
非虚血性持続勃起症の診断がついた場合は、緊急性が低いため経過観察を行います。経過観察の際には、必要に応じて会陰部の圧迫やクーリングなどを実施するほか、止血剤などを使用する場合もあります。なお、ある程度経過観察を続けても勃起状態が改善しない場合は、「塞栓術」という損傷血管をふさぐための治療を行います。
おわりに:勃起状態が続くようなら早めに相談しましょう!
勃起状態が続いていて、さらに痛みを伴う場合は「持続勃起症」の可能性があるため早めに医療機関を受診してください。また、5歳から10歳くらいの子供が持続勃起症を起こす場合もあるので、保護者の方は気にしてあげるといいでしょう。