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テストステロンには、どんな効果がある?直接補充できるの?

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「テストステロン」にはさまざまな働きがあり、その働きは時期によって異なります。そこで、今回はテストステロンの効果を説明した後に、テストステロンの補充治療とその副作用などについて解説します。テストステロン不足による症状に悩まされている方は、悩みを解決する糸口にしてくださいね。

テストステロンには、「男らしさ」を高める効果がある!?

テストステロンは男性ホルモンの大部分を占める物質であり、さまざまな働きを担っています。まずは、テストステロンにどのような働きがあるのかを確認してみましょう。

テストステロンには「男性器の形成」などの作用がある

テストステロンには、まずは胎児期における「男性器の形成」があります(第一次性徴)。また、思春期には陰毛の形成、男性器の成長、声変わりなどが見られます(第二次性徴)。このようにテストステロンは成長過程において重要な役割を担っています。

テストステロンには「男性らしい身体を作る」作用がある

成人になると、テストステロンは「男性らしい身体を作る」という働きも担います。具体的には、筋肉や骨格の形成、ヒゲや体毛の成長などです。また、男性の性欲や性衝動の亢進といった働きもあり、性行為を行うために必要なホルモンにもなっています。その他にも、記憶力や判断力を上げたり、社会性を高めたりする作用もあります。このようにテストステロンは「男性らしい身体を作る」作用を中心に、さまざまな働きを担っているのです。

テストステロンを直接補充する方法ってあるの?

何らかの原因でテストステロンが減少してしまった場合、それを補うための治療が必要です。その治療を「ホルモン補充療法」といい、これには注射薬、外用薬、内服薬の3種類があります。現在は「注射薬」が中心となるので、以下では注射薬について解説します。

テストステロン補充療法は「注射薬」のみ

テストステロンの注射薬には「エナルモンデポー®」があります。こちらは1~4週間おきに、筋肉内注射を行うというものです。効果の現れ方は患者さんによって異なりますが、早ければ注射後すぐに効果を実感できる方もいらっしゃいます。ただ、一定期間経つと、テストステロンの濃度が底値に達してしまうので、定期的に注射を打つ必要があります。

なお、テストステロン補充療法の注射治療を男性に実施する場合は、定期的に前立腺の検査を行うことが必要になります。また、副作用の危険性もあるため、医師の下で適切な管理を行っていくことが重要となっています。テストステロン補充療法によって改善が見られたら、その後は、注射治療以外の治療法で症状のコントロールを目指すことも可能です。

外用薬や内服薬による治療を受けることは可能?

テストステロンの外用薬には「グローミン®」があります。男性の場合は、1日2回(朝・晩)に適当量を決められた部位に塗るというものです。なお、こちらは市販薬になっていますが、なるべくなら医師の診察の上で使用する方が望ましいと言えます。また、内服薬の場合は海外では使用されていますが、国内で認可を受けているものは現時点ではありません。

ホルモン補充療法に副作用ってあるの?

テストステロン補充療法は前立腺がん患者さんや乳がん患者さんには使用できません。また、前立腺肥大症や心臓病、腎臓病などをお持ちの方には慎重な投与が求められます。その他、テストステロン補充療法には、以下のような副作用があるので注意してください。

  • 前立腺がんや前立腺肥大症が悪化するリスクがある
  • 特に大量投与後に精巣萎縮、精子減少が現れる場合がある
  • 多血症(赤血球が異常に増殖する病気)を起こす可能性がある
  • 肝機能障害や善玉コレステロールの減少が生じる可能性がある
  • 睡眠時無呼吸症候群が悪化する恐れがある

この他にも、過敏症、脱毛、ざ瘡、体毛の増加などが起こる可能性もあります。また、副作用ではありませんが、筋肉注射時には痛みを伴うので注意した方が良いかと思います。

テストステロン補充療法には上記のようなデメリットがあります。もちろん治療を受けるだけのメリットもあるので、治療前には担当医から効果や副作用などの説明をしっかりと受けましょう。そして、メリットやデメリットについて納得した上で、治療を受けるようにしてください。

おわりに:テストステロン不足に困っていたら治療を検討しましょう

テストステロンにはさまざまな働きがあり、分泌量が減ってしまうと、身体的症状や精神的症状、性機能低下が現れます。もし何か体調不良があったり、違和感があったりしたら、一度、病院へ相談に行くと良いかもしれません。そして、テストステロンの低下は重大な病気のきっかけになる場合もあるので、しっかりと検査・治療を受けるようにしてください。

監修 : ソラリアクリニックグループ特別顧問、泌尿器科専門医、指導医、医学博士 古賀 祥嗣

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