バイアグラ®が若返りに役立つって本当なの？

バイアグラ®は、現在、勃起障害の改善を促すEDの治療薬として広く知られています。しかし、バイアグラ®の作用により、「若返り」の効果が期待されていることはまだまだ知られていません。
バイアグラ®は、どのような作用によって「若返り」を促進すると考えられるのでしょうか？また、バイアグラ®を服用できない人はどのような人なのでしょうか？

バイアグラ®に期待される「若返り」効果とは？

バイアグラ®はED治療薬として知られていますが、勃起障害だけでなく、排尿障害や血管拡張反応を改善する効果があることも知られています。バイアグラ®の有効成分であるシルデナフィルという成分が血管を拡張することで、ペニスだけでなく全身の血管を拡張し、血行を良くする作用があるのです。

もともとシルデナフィルは、狭心症や心筋梗塞などの心疾患の治療薬として研究開発が進められていた物質でした。しかし、心疾患の治療薬としては期待通りの成果が得られず、臨床試験において治験者に対し勃起を促すことが判明したため、ED治療薬として販売されることになったのです。

血行をよくし血流をスムーズに循環させることは、代謝を上げて体温を高めたり、老廃物を排出したりして体内環境を整えるのに役立ちます。また、加齢によって血管が柔軟性を失う動脈硬化や、血流の流れが悪くなることによる血栓や血管傷害などを防ぐことにもつながり、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症を引き起こすリスクを下げることができます。

また、バイアグラ®が老化を防止するという医学論文も既に発表されています。帝京大学医学部附属病院泌尿器科の堀江教授によれば、バイアグラ®を常用することで体内の酸化ストレスが減少し、男性ホルモンが増加することが認められたと報告されています。

酸化ストレスとは、細胞や組織の「錆びつき」と呼ばれる、機能低下や傷害を引き起こします。活性酸素による悪影響と、これを阻む抗酸化酵素との差が大きいほど酸化ストレスは大きく、酸化ストレスが少なければ少ないほど老化が進みにくいと考えられています。また、男性ホルモンは身体機能を改善し若返り効果をもたらしますが、男性だけでなく女性の老化防止にも効果があるとの報告もあります。

これらのことから、バイアグラ®は体内の若返りに効果を発揮するのではないかと注目されています。現状ではバイアグラ®は動脈硬化の治療薬としての承認を得ていませんが、バイアグラ®によって血管が若返ることで、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の予防につながるのではないかと期待されています。

バイアグラ®は誰が飲んでも大丈夫なの？

バイアグラ®は、血管拡張作用から、服用した人の9割以上で以下のような症状が見られます。

• 顔のほてり
• 目の充血
• 血圧の低下（2〜3程度）

これら勃起効果とともに付随して起こる作用のため、効果の発現の合図と考えて構いません。頭痛や動悸、鼻づまりなどの症状が出る人もいますが、服用から4〜6時間程度でおさまるようであれば、体への悪影響を心配する必要はありません。頭痛がひどい場合は、ロキソニン®やイブプロフェン・バファリンなどの頭痛薬を併用しても構いません。

しかし、以下のような人にはバイアグラ®を処方することはできません。

未成年

バイアグラ®の臨床試験は成人を対象としているため、未成年での安全性が確立していません。

心血管系疾患があり、性行為が不適当な人

性行為時には心拍数・血圧・心筋酸素消費量が増加するため、過去6ヶ月以内に心不全や不安定狭心症などを発症した人を始め、心血管系の疾患を有する人には処方できません。

脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴がある人

脳血管の傷害の既往歴がある場合、血圧の変化に対して脳循環を一定に保つ機能が障害されていることが多く、全身の血管拡張作用によって脳循環の低下を引き起こす可能性があります。

重度の肝機能障害を有する人

バイアグラ®は肝臓で代謝される薬剤であるため、肝硬変など重度の肝機能障害がある場合、正常に排出が行われない場合があり、血中濃度が増加する可能性があります。

低血圧・または高血圧

バイアグラ®には血管拡張作用による血圧低下が見られるため、低血圧の患者さんには臨床試験を行っていません。

また、悪性の高血圧の場合も、性行為が不適当とされるため、臨床試験の対象ではありません。

バイアグラ®の成分に対して過敏症の既往歴がある

有効成分であるシルデナフィルクエン酸塩だけでなく、青色2号など、含まれる成分に対してかゆみや発疹など過敏反応を持っていることがわかっている場合は、処方されません。

その他、狭心症の治療に使われる薬剤など、バイアグラ®と併用することで体調に悪影響を及ぼしたり、生命を脅かす症状を引き起こしたりする可能性のある薬剤を服用している人にはバイアグラ®を処方することはできません。服用している薬がある人は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

おわりに：バイアグラ®で血管を若返らせ、体内の老化を抑制できる可能性がある

バイアグラ®には、血管拡張作用によって動脈硬化や血流を改善する効果があります。各種のホルモンや体内の循環は全て血流に乗って行われるため、血管が若返ることは体内の若返りにつながることは十分期待できます。

しかし、一方でバイアグラ®を処方できない人もいます。バイアグラ®を服用する場合は十分に医師と相談し、服用後の副作用には十分注意して過ごしましょう。