男らしさの基礎知識 男性ホルモンとテストステロンについて
女性とは異なる筋肉質でがっしりとした体つきや、男性らしい体毛の濃さをつくる源となっているのは、男性特有の性ホルモンの分泌バランスです。
今回は、いわゆる「男らしさ」を作り出す男性ホルモンについて、その代表格と言われるテストステロンの性質とあわせて、解説していきます。
男性ホルモンとテストステロンの違いとは?
いわゆる男性ホルモンは「アンドロゲン」とも呼ばれ、以下のような複数のホルモンで形成される「ステロイド・ホルモン」という分泌物の一種です。
- 俗に言う男性ホルモンを構成する成分の例
- テストステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、デヒドロエピアンドロストロン(DHEA)、アンドロステロン、アンドロステンジオン、エピアンドロステロン など
特に、構成成分のうち「テストステロン」は男性ホルモンの代表格です。
性衝動や精子の形成など生殖能力にも大きく影響しており、テストステロンの分泌量が少なくなると、男性の心身にさまざまな不調をきたしてしまいます。
このように、テストステロンは男性ホルモンの主成分であり、男性が男性らしい体つきや行動を維持するために欠かせない成分なのです。
男らしさを作る「テストステロン」の働きとは!?
ここからはテストステロンの働きを、4つの項目に分けて詳しく見ていきましょう。
生まれる前の「一次性徴」における働き
胎児の性別は、妊娠6~24週目に浴びる性ホルモンの量で決定されるといわれています。
テストステロンを多く浴びた胎児の性別は男児となり、これにあわせて、身体も男児として成長していくことになります。
また、生後2週間~6か月にかけても男児のテストステロン値が高まり、性自認や脳の発育にも影響を及ぼすといわれています。
思春期の「二次性徴」における働き
12~17歳ごろになると再びテストステロンの分泌量が増加して「第二次性徴」が起こり、筋肉と骨の成長、陰毛や髭の発育、睾丸・陰茎の発育などを起こします。
男性特有の生殖機能を獲得し、勃起や射精ができるようになるのもこの頃です。
成人男性に対する働き
成長期を終え、成人した後も一定量のテストステロンは分泌され、男性として健康な状態を保ち子孫を残せるよう、心身に影響を及ぼし続けます。
一般的に、女性よりも男性の方が性欲や性衝動が強く現れるのは、テストステロンによって性衝動が亢進されているためです。
脳や精神面に対する働き
胎児期から成人期に至るまで、テストステロンは男性の身体だけでなく脳や精神にも大きく作用し、物事の捉え方や思考のパターンなどを男性らしく変化させます。
このような男性らしい思考や精神の状態は、テストステロンの分泌量が多ければ多いほど、強くなると傾向があるのも特徴的です。
不足したテストステロンを増やす方法はある?
加齢などにより不足したテストステロンは、日々の食事と生活習慣の見直しにより、ある程度増やすことができます。
以下に、テストステロンの増加に効果的な「食事」「運動」「ストレスの緩和」の3つの方法について、詳しく解説します。
- テストステロンを増やすための食事習慣
- 栄養バランスの悪い食事や偏食は、テストステロンの原料不足と分泌量低下を招きます。
テストステロンを増やしたいなら、男性ホルモンの分泌に役立つビタミンDを含んだキノコ類、かつお、いわし、さんま、ぶり、鮭などを積極的に摂りましょう。 - テストステロンを増やすための運動習慣
- 運動をして筋肉が刺激されると、テストステロンの分泌が促進されます。
フルマラソンなど極端に負荷の大きい運動ではなく、1日30分~1時間を目安に軽いジョギングやウォーキング、筋トレなどをする習慣をつけることをおすすめします。 - テストステロンを増やすためのストレス緩和
- 性ホルモンの分泌は、心身を健康に保つ働きのある自律神経と密接にかかわっています。
テストステロンを正常な範囲まで増やしたいなら、1日7~8時間の睡眠を取って心身をしっかり休め、日々のストレスを蓄積させないことが大切です。
規則正しい生活を基本とし、自分なりの方法でこまめにストレスを発散してくださいね。
おわりに:男らしさの根源は、男性ホルモン「テストステロン」にあり
筋肉質な体つきや体毛の濃さ、決断力に富んだ性格や論理的な思考パターンの傾向まで、一般的にイメージされる男性らしさの多くはテストステロンによるものです。その影響は胎児期から思春期・壮年期・老年期まで、生涯にわたって続きます。テストステロンが不足すると男性更年期を起こすリスクもあるので、心身の健康維持に必要な分泌量が保てるよう、日ごろから注意してください。